Tree`s Garden -Riyoko Kisaki-

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Tripnote

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コラム 宇宙兄弟

第2回『ふかぼり!宇宙兄弟~凝り固まったものが変わる時~』

投稿日 2018-04-20 / 最終更新日 2021-01-02

こんにちは、樹咲です。

大人気の宇宙兄弟とFabcafeのコラボが今年も始まりましたね!

FabCafe×宇宙兄弟コラボレーション第3弾!33巻発売記念

昨年大好評だったヤンじい&アポのホットドッグに加え、今年はギャラクシースパイシーバーガーも登場!なんと、とっっっっても辛いそうなんです…!
そしてオリジナルメニューのスペースソーダは何と銀河が出来てしまうとか…?その宇宙、私も早く“体験”したいです!

さて2回目はコラボメニューでも大人気の初登場新作メニュー“ギャラクシースパイシーバーガー”にちなんだふかぼりをしていこうと思います。

ギャラクシースパイシーバーガー | 宇宙兄弟メシ | 樹咲 リヨコ | cakes(ケイクス)

第一印象の悪さ、それが変わっていくとき。

『宇宙兄弟』には魅力的なキャラクターたちが大勢登場しますが、初登場の第一印象があまり良くないな~という人物も結構いませんでしたか?
やる気がなくいつでも酒を飲んでいるピコ・ノートンだったり、新人に厳しく試すことをするビンセント・ボールド(ビンス)だったり。

ピコとビンスが何故そのような行動を取るようになったのか、彼らが持つ背景、やる気のなさや他者を敵と思う程のものは何なのか。どんな過去がありどんな生き方をしてきたのか。物語が進んでいくと徐々に描かれていきます。

人生は短いんだ
テンションのあがらねえことにパワー使ってる場合じゃねえ

「どの言葉が一番か?」。1つに絞れないほど数々の名言が誕生している『宇宙兄弟』ですが、やはり私にとっての一番はこの言葉(正確にはピコとビンス2人のセリフですが)。

3人で共に見た宇宙への夢。しかし周囲の反対にあい一度はその夢を諦め別の道へ進もうとしたピコとビンス。喧嘩別れのような形になってしまった幼馴染リックを、事故死という最悪の形で失った後悔。

もう絶対に宇宙への夢を諦めない。“3人”でみた宇宙への夢、その情熱からきている熱い想い溢れる言葉です。

人生は本当にあっという間で、テンションのあがることにパワーを使いたい。今の私の生き方そのものになっています。

こんな風に、登場人物たちのバックグラウンドや想いを知ると大好きになってしまいますよね。

ところが、ウォルター・ゲイツ。彼はちょっと別でした。なぜなら彼はムッタやヒビトをずっと追い詰めてきたからです。しかもミスをしない男として昇りつめたゲイツの対応は何もかもが冷酷。

パニック障害と闘い宇宙飛行士復帰試験で復活を果たしたヒビトを毒に例え、もうアサインすることはないと言い放ったり。

ムッタらジョーカーズのアサインを取り消し、取り戻そうとするムッタたちに無茶苦茶な予算削減やISSの廃止署名を要求してきたり。

なんだかずっと「敵」のように描かれ、ムッタやヒビトの未来を邪魔する人。
ゲイツさえこんな対応をしなければ…!と憎くすら思えてくる…そんな方も多かったのではないでしょうか。

ムッタにとって、ゲイツは「敵」ではなかった。

『南波ムッタ』という人が凄いのは、嫌な思いをしたからといって「対話」に自身の「負の感情」を入れないこと。私情とは切り離して考え、相手と向き合おうとするところだなと感じます。

“シャロン月面天文台建設のために月へ行く”という大きな目的があり、仕事には理不尽なこともあるとわかっている。
うまくいかない時、目的を達成しようとする時、どうすればいいのか。宇宙飛行士を目指す前(宇宙飛行士を諦め別の道を生きてきた期間)から、彼はずっと思考錯誤し実行してきた人だ、ということは宇宙兄弟#0からも感じることができます。

しかし。

ゲイツが弟ヒビトを結果的にNASAから追いやった上層部の人間であることは確か。俺の弟を何だと思ってる…とムッタが珍しく怒りをあらわにした姿も描かれました。大切な人を不当に扱われた怒り。
でも、その感情すらも出さずにゲイツと向き合おうとしている。さすがに、自分の弟があれほどの仕打ちを受けたなら私情、入りませんか…?などと私は思ってしまうのですが、それを出さない。本当に凄いことだなあと思うのです。

彼はかつてビンスに言っていましたね。「俺の敵は大体俺です」と。

そして聞くのです。「ゲイツさんは、宇宙の何が好きですか?」と。

人は人を知る。一見嫌だな、と思う人にも何かを諦めたり蓋をした過去があるのかも。

私は昔、人は偉くなればなるほど、歳を取れば取るほど孤独ではなくなると思っていました。でも、もしかしたら逆なのかもしれない。偉くなり歳を取るほどその過程で孤独になっていくのかもしれません。

かつてゲイツと共に働いていたオーウェン・パーカー。ゲイツの一年先輩で部下からの信頼も厚く、パーカー自身も周りを信じやる気のある若い後輩たちにどんどん仕事を任せていました。しかしある日企画リーダーを任せていた部下が全てを投げだして失踪し、パーカーはその責任をとってNASAを辞めさせられてしまうのです。

ミスをしたものには仕事は任せられない。

あからさまに組織の風潮が変わった。恐らくミスの責任をめぐってNASAとパーカーで相当なやり取りもあったのではないでしょうか。結果、パーカーはNASAを去りました。ああなりたくないと思ってしまったゲイツは絶対にミスをしないように起こらせないように生きるようになってしまい、いつの間にか宇宙への夢そのものを失ってしまったのです。
ゲイツの部屋には、彼が作ったキラキラとした輝く月面基地のジオラマがあったのに。いつのまにか、そのジオラマには布がかかり埃が被ってしまいました。

ミス。失敗。
働いていると、自分が起こしてしまったり周囲が起こしてしまったり、普通にあることだと思います。
もちろんない方が良いものだとは思いますが、人がやっている以上どんなに気を付けてもミスは起こりますし、本当に大切なのは“それをどうカバーできるか”“次に同じミスを繰り返さないように考え対策を練ること”だと私は思っています。
そして、そのミスを共有し予防したりカバーし合うのがチームや組織だと思うのです。

だけど、ゲイツはミスそのものを絶対にしないようにしようとするあまり、誰にも何も相談することが出来なくなってしまったのではないでしょうか。

アウトプット・タヴァーンを訪れたゲイツは、昔の自分を知っているパーカーと話をします。自分は慕われる上司にはなれていない。周りになんて言われているのかを知っている——。酒を飲み目を抑えながらそうこぼすゲイツの姿を見ていたら、相談も、そんな愚痴すらも周囲にいえないほど長く孤独でいたのだなと思います。

パーカーに対し憧れていたわけではないというゲイツ。友人というわけでもなさそうです。
けれど、同僚としてその頃の働く姿や目指している想いを感じ取った、あの頃を知っているからこそ言えることもあるのでしょうね。

宇宙の何が好きなのか。きっかけとなったムッタの言葉と、“あの頃”を知っているパーカーとの会話。

「勇気を出したい」、そうリクエストするゲイツにパーカーが出したギャラクシースパイシーバーガー。辛さで発生した“熱”が、ゲイツの冷え切っていた心に火を付けました。

足しげく通ったアウトプット・タヴァーンの“再現された空気”も手伝ったのでしょう。
この頃から、ゲイツは変わっていきます。——いえ、変わっていくというよりも、遠い昔蓋をしてしまった情熱を思い出したのかもしれません。

誰かや何かがきっかけで動き出すこと、変われることがある。

もちろん、残念ながら生きていると“どうしても合わない人”というのはいますよね。
その人が自分自身の尊厳や生命を脅かすような人だったりしたら、それはもう全力で逃げるべきだと思っています。

でも、それが目的を共にする一人だったら。
“合わないな”と感じている部分が仕事のことだったりしたら。
自分をフラットにして「対話」をしてみることできっと何かが変化していくのかもしれない。
ゲイツを描いた一連のストーリーで、そんな風に感じました。
そして、人はいくつになってもいくらでも変わっていけるのだということも。

主人公であるムッタやヒビトだけでなく、それぞれの人物にそれぞれの人生の山や谷、成長を感じることができる。“リアル”に感じられることが『宇宙兄弟』の本当に大きな魅力だと思います。

長年布に覆われ埃が積もっていた、ゲイツが作った月面基地のジオラマ。
彼の中の“宇宙への夢”は、再び輝きを取り戻したのでした。

今回登場したギャラクシースパイシーバーガーは現在Fabcafeで食べられます!宇宙兄弟スタッフやコルクの皆さんの「意識飛びそう」とか「ものすごい辛い!」という意見を目にして、一体どれだけの辛さなのか、心どころか体に火が付く…??(; ・`д・´)とドキドキしております。皆さんも、ぜひぜひ食べてみてくださいね!

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