投稿日 2019-01-26 / 最終更新日 2021-01-02
こんにちは、樹咲です。
数年ぶりに年末年始なく働き、今月中旬までひたすらにPCに向かい続けた反動で「文字を見続けるのに疲れた…」となり休んで遊んで気力を回復することに費やしておりました。ようやく仕事もプライベートも「年が変わった!」を実感しております。
ということで非常に遅ればせながら、今年もnoteに「好き!」なものごとを綴っていこうと思います。お付き合いいただけましたら嬉しいです。
さて『ふかぼり!宇宙兄弟』2019年1本目は南波兄弟の素敵な両親、「長介と真弓」について書こうと思います。
ところで皆さんは南波両親の名前がなぜ「長介」と「真弓」なのかご存知でしょうか。
アニメ放送前はまだ名前がなかったお二人。
アニメで父と母を担当された声優さんが「チョー」さんと「田中真弓」さんということでついた名前なのだそうです。
田中真弓さんといえばONEPIECEのルフィやドラゴンボールのクリリンなど少年のイメージが多い方。なので声優発表を見た時「た…田中真弓さんがムッちゃんのお母さんを…?!」とビックリしました。
アニメを拝見したらもう南波母!南波母でしかありえない!という感じでした!
ムッちゃんがJAXAから1次試験の合格通知を受け取り飛び出したときの、あの「ついでに牛乳買ってきてっ!低脂肪っ!」の「ていしぼう」の響きは今も脳内で何度も再生され、思い出すたびに笑ってしまいます。
星加さんから合格の電話を待つときの母ちゃんのオリジナルソング「ワッショイ♪」も独特なメロディで良いんですよね…!
息子の緊張や喜びとは裏腹に普段と変わらぬように見えた母ですが、JAXAからの1次審査合格の通知を見て「ケーキ買ってこなきゃ」と嬉しそうに言ったり、星加さんに合格を告げられているムッタを木の陰から見守って嬉し泣きしていたり。読者しか知らない場所で息子のこれからの道を祝っているところに「母ちゃん…!」とグッときてしまいます。
そして父ちゃん。
息子たちには「いつもの光景」となってもはやツッコミもしなくなっている父のダジャレですが、読者をクスリとさせてくれるやりとり。「P」から始まるTシャツを身に着け、それが各話と絶妙にリンクしている部分にも小山先生の遊び心を感じます。
しかし父として、ここぞという時に発する言葉には重みがあります。成人した息子たちにかける言葉。宇宙飛行士である息子たちにかける言葉。
母・真弓に比べいつもポーカーフェイス気味な父・長介ですが「素敵な両親だな」と思うのは息子たちの晴れ舞台は必ず夫婦二人で応援しているところ。
そして、(表情には出さずとも寝付けていないなど)心配していたりソワソワしたり、熱いガッツポーズをとったりと、熱い父であるところ。
息子たちの“応援”と“お祝い”を全力でして嬉しそうで誇らしそうな南波夫婦が、とっても素敵だなあと思うのです。
お祝いごとや愉快なエピソードだけではありません。
小山先生オリジナル脚本の『宇宙兄弟#0』で描かれている、兄弟が小学生の頃飼っていたハムスターとのお別れの話。喪服を着て、きちんと“死んだ命との向き合い方”を教えた両親。
ハムスターのお葬式のエピソードをヒビトから聞いたブライアンが「たいした両親だ」とヒビトに言っていましたが、まさに。
「ちゃんとお別れしたの?」
ブライアンの死と向き合えなかったヒビトに、優しく問いかけた母・真弓の言葉。
ブライアンが事故で亡くなったからといって宇宙飛行士であることを反対はしない両親と兄。
「死」という突然どうしようもない自然の摂理との向き合い方を知り、覚悟し、そして教える。
親としての二人の覚悟は、ヒビトが遺書を書いていた、というムッタの動揺に対しあっけらかんと「当たり前」と受け止めていた姿勢にも見られますね。
ブライアンが亡くなり帰国したヒビトにかけた言葉、そして南波家の“居心地”。家族4人で大切なことを“会話”するあのシーンは「南波家っていいな」と、うん、うん、と言葉にならないあたたかいものを感じたシーンでした。
明るく朗らかで笑いがいつも絶えない様なあたたかい南波家。
ムッタとヒビト、今や日本の誰もが知っているであろう二人の宇宙飛行士の両親となりながらも、これからも変わることのない父と母がそこにはいるのでしょうね。
©小山宙哉/講談社
※本連載は『宇宙兄弟』原作画像の掲載許可を得ております。
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