Tree`s Garden -Riyoko Kisaki-

デザイン・WEB・漫画制作・ゲーム関連・ナレーターなどで活動する個人事業主・樹咲リヨコのサイトです

Tripnote

Tripnote

コラム 宇宙兄弟

番外編『ふかぼり!宇宙兄弟~宇宙を翔ける人智の結晶たち~』

投稿日 2018-10-06 / 最終更新日 2021-01-02

こんにちは、樹咲です。

———————————————————————-

さて!9月から10月にかけて、宇宙的には大変忙しく大きなニュースが駆け巡りましたね。

「はやぶさ2」から分離された小さな探査ロボ「ミネルバ2」から届いた躍動感ある写真。HTV7の打ち上げとISS到着、続いて同じく「はやぶさ2」から分離された小型着陸機「MASCOT」

あまりにも忙しなく駆け巡る情報の波に、私もすべてを追い切れている訳ではないのですが…!

他にも中秋の名月や宙フェス、JAXA筑波宇宙センター特別公開などの宇宙ベントも。

さらに、9月30日は我らが『宇宙兄弟』の作者、小山宙哉先生のお誕生日でした!

おめでとうございますーーーー!o(*>▽<*)o

ふぅふぅ…。
宇宙関係、あれもこれも忙しく、嬉しい悲鳴ですね…!

今回は、そんなたくさんの宇宙ニュースから番外編として「もっと皆さんに知っていただきたい!」ということを書かせていただきます。

———————————————————————-

地球から遥か遠い場所から…

皆さんは、「はやぶさ」を覚えていらっしゃいますでしょうか?
地球に帰還する際に撮った最後の地球のデータや、夜空で燃えつき美しい流れ星のようになった姿を思い浮かべる方も多いでしょう。

「はやぶさ」は小惑星イトカワの微粒子を採取し、“サンプルリターン”という国際的にも他に例がない偉業を成し遂げました。

現在「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到着し、様々なミッションを行っています。

理学目標1:
太陽系における物質進化過程の謎解きC型小惑星の物質科学的特性を調べる。特に鉱物-水-有機物の相互作用を明らかにする。
理学目標2:
微惑星の物理進化過程の謎解き小惑星の再集積過程・内部構造・地下物質の直接探査により、小惑星の形成過程を調べる。
工学目標1:
深宇宙サンプルリターン探査技術の確立「はやぶさ」で試みた新しい技術について、ロバスト性、確実性、運用性を向上させ、技術として成熟させる。
工学目標2:
宇宙衝突探査技術の実証衝突体を天体に衝突させる実証を行う。
(抜粋:はやぶさ2サイトより)

「はやぶさ2」は既にリュウグウには到着しているのですが、まだ着陸はしておりません。
その前に、小型の探査ロボがリュウグウについて色々調べているのですが、、、、

見てください、この写真!

ミネルバ2という小さな小型ローバー。
「はやぶさ2」から分離したこのローバーは、着陸しホップして移動しながら表面の観測を行いました。届いたのがこの制止動画です。

すごくない?

思わず声に出してしまう程。
小惑星リュウグウは約2億8000万キロも離れており、そこからこういったデータが、ほぼリアルタイムと言っていい程の速さで届いているのです。

こんな風にアニメーションで見られる制止動画は、まるで自分が小惑星に降り立ったような感覚にさせてくれます。

———————————————————————-

そしてもう一つ。
「はやぶさ2」からリュウグウへ着陸した小型ランダーMASCOT

小惑星表面の精度の高い科学探査、はやぶさ2着陸候補地点の表層についての事前調査、サンプル採取予定地点の鉱物の産状を調べるという3つの大きな目的を持っています。

上2つのツイートには、MASCOTの影、MASCOT自身が写っています。

なんと、この小さな機械MASCOTの稼働時間は15時間程度。はやぶさ2から分離された後、彼が稼働できるのはそれしかありません。
MASCOTは稼働予定よりも多い17時間精一杯稼働し、そのミッションを完了しました。
詳細なデータは地球に届けられ、今多くの人の手で分析されているのでしょうね。

———————————————————————-

その短い時間の為にかけられる、長い長い時間。

計画が始まった頃から、小惑星リュウグウに到着するまでの時間、そして、それぞれのミッションを行うまでの時間。

MASCOTがミッションを行える時間は15時間。実際には、分離からリュウグウウ着陸までにも時間がかかりますから、本当に短い時間の為に世界中の叡智が集まって、長い長い時間をかけ、ミッションでできる限りの活動ができるように作られたことでしょう。

当初予定より長かった稼働時間に、その小さな機体に背負った人の想いや、MASCOTの意志を感じずにはいられません。

月並みな言い方ですが、地球が、ここで生命が生きているということは本当に奇跡的なことです。
当たり前すぎて普段は意識しませんが、これだけ多くの星が宇宙に煌きながら、今のところ生命のある天体は地球以外みつかっていません。

私たちは、私たちの住む太陽系は、どんな風に進化してきたのだろう?

惑星はその形成過程で溶けてしまい情報がよくわからなくなってしまいます。地球のような惑星の“始まりの情報”を持っていると考えられるのが、小惑星や彗星なのだそう。

また、恐竜が絶滅したように「宇宙からの天災」に備える「スペースガード」活動。
地球に接近する軌道を持つため近未来の有人探査のターゲット。

そんな目的を持って、はやぶさ2のミッションは行われています。

自分の起源を「知る」。
私自身、他にも絶対に生命のある天体があると考えています。
生命が生まれる条件や原因はなんなのか、その理由や可能性を、生きているうちにできるだけ多く知りたいです。
「知りたい」という欲求は、人類が永遠に追い求めるテーマなのでしょうね

JAXA Hayabusa2 Project小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトサイトです。最新の情報やメッセージなど随時更新いたします。www.hayabusa2.jaxa.jp

———————————————————————-

人がつくったものには、人の意志がある

『宇宙兄弟』は宇宙飛行士がメインの話なので探査機などの話はあまり出てきませんが、今、ムッタたちが強い想いを込めてつくっているものがありますね。

そう、シャロン月面天文台です。

殆どの場合「それを誰が計画し、作ったか」などと知らずにその存在を知り、使ったりしています。

『宇宙兄弟』の世界でも多くの人々は月面天文台を計画した人々のことも、つくった人々のことも知らずに過ごしていくでしょう。

でも、私たちはそれがシャロンの夢から始まり、みんなの夢になり、その夢を背負ったジョーカーズ…ムッタが強い想いを込めて建設していることを知っています。

私たちがムッタやシャロンに想いを馳せるように、地球から遠く離れた宇宙のどこかで活躍しているたくさんの探査機たちや、普段使っているものに、想いを馳せてみてください。

それをつくった人の個人名を知らなくても。
人類の将来のために、地域の人々のために、よりよい生活のために。

それはきっと、誰かの、なにかの願いを込められてつくられたものでしょう。

誰かの願いや想いを背負ってつくられたものたち。
「それ」の向こう側にいる“誰か”の想いを受け取り、大切にしたり、応援したりしたいですね。

———————————————————————-

©小山宙哉/講談社
※本連載は『宇宙兄弟』原作画像の掲載許可を得ております。


★「宇宙兄弟メシ」cakes様連載、電子書籍もよろしくお願いいたします★

宇宙兄弟メシ
宇宙兄弟メシ vol.1www.amazon.co.jpAmazon.co.jpで購入する